茨城県大子町の八溝山に位置する坂東三十三観音第二十一番札所「八溝山 日輪寺」を紹介します。
坂東三十三観音霊場の中でも最大の難所と言われている日輪寺。一体どんなお寺なのでしょうか。
その創建や現在に至る経緯を知ると、信仰が厚く、歴史上のスターたちに護られてきたお寺であることが分かりました。
八溝山の登山や紅葉を楽しみながら、日輪寺へも足を運んでお参りされてみてはいかがでしょうか。
八溝山 日輪寺(大子町)坂東三十三観音霊場最大の難所の御朱印
茨城県大子町の「八溝山」は茨城県最高峰の山。
そして、その山に佇むのが坂東三十三所観音巡礼の最大の難所と言われる「八溝山 日輪寺(にちりんじ)」です。
施設名称 八溝山 日輪寺(天台宗)
所在地 茨城県久慈郡大子町上野宮2134
時間 (夏)8:00~16:30
(冬)9:00~16:00
主な年間行事 毎月17日:縁日護摩祈祷
5月3日:八溝梵天護摩供
駐車場 あり(無料)
公式サイト 坂東三十三観音 第21番札所日輪寺
日輪寺は八溝山の山頂から300mほど下ったところ、8合目に位置しています。
難所と言われていますが、車で近くまで行くことができるので登山をしなくてもお参りをすることは可能です。
ただ、お寺までの道が山道なので、狭い道になると脱輪したらどうしようという若干の恐怖感もありました。
また、昔から「八溝やみぞ知らずの偽坂東」という言葉があるのはご存じでしょうか?
坂東三十三ヵ所の中でも難所であるために省略する人が多く、八溝山は登るのが大変なので日輪寺の観音様を遠くから拝む巡礼者のことを「八溝やみぞ知らずの偽坂東」と揶揄されたそうです。
それもそのはず。車なら近くまで行けますが、水戸からの鉄道は水郡線(ローカル線)JR常陸大子駅。そこからバス40分(18㎞)、そして徒歩6㎞。
水戸からの鉄道だけでなく、バスも1日に4本と行きづらさがあります。冬期になると閉まってしまうという現代でも難所です。
電車がなかった時代を考えると…。
八溝山 日輪寺は閉山期間あり
坂東観音巡礼の公式サイトによると「1月~2月は雪のために閉山」となっています。御朱印は授与可能で登山口に案内板が出ます。
せっかく遠方から来られた場合に、閉山となっているのは絶対避けたいものなので注意が必要です。
八溝山 日輪寺へのアクセス
電車やバスを利用する場合は、JR水郡線の常陸大子駅から茨城交通のバスに乗車し「蛇穴(じゃけつ)」バス停で下車。
八溝山へは常陸大子駅からですと車(タクシー)で約50分ほどのところになります。
終点の蛇穴(じゃけつ)というバス停で降りてからは登山することになります。
さらに注意したいのが、バス停から険しい山道を約2時間歩くことになるということです。
一体何処へ行くのだろうかと思いつつ、森林浴をしながら歩いて行くのですが、途中にお店などは一切ありません。
何時間もかかる登山やハイキングは無理という方は、常陸大子駅からタクシーで日輪寺まで来られる方がほとんどです。
自家用車でナビを利用してアクセスする方も多いのですが、山道が割とすごい道を通ります。道を間違えたのかな?と焦るほどです。
車がやっと1台通れるくらいの細い道があるので、対向車が来たら大変なことになりそうで不安になることも。
実際に対向車とすれ違う場面もあり、何とかなる場所だったから良いものの、少しずれていたら大変な目に会うところだったかもしれません。
248号線も何とかなりますが、車がすれ違うのは厳しい道だとは思います。
大きい車で行かれる方は要注意。車の運転も大変な思いをするかも…。
日輪寺へ辿り着くと駐車場は案外広くて、お手洗いもある停めやすい場所になっていました。
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八溝山は鬼が住んでいたと言われ、蛇穴(じゃけつ)という地に伝わる「大蛇退治」の伝説もありました。
日輪寺へは境内まで車で行くこともできますが、歩くのが苦では無い方には八溝嶺神社の鳥居がある方から登山をして参拝へ行くのもおすすめです。
この時期に合わせて行かれるのが特におすすめですね。山並みを眺めながらのハイキングは癒されますよ。
八溝山の紅葉時期や登山・ハイキングについてはこちらのページで紹介しています。
「八溝山」の名前の由来には諸説あり、八方に谷が流れていることからと言われていますが、日本武尊が東征にきた際に言った「この先は闇ぞ」と言ったことも由来しているとか。
八溝山 日輪寺の御朱印
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日輪寺の本堂で御朱印をいただくことができます。坂東三十三ヵ所の「大悲殿」の御朱印です。
初穂料は300円。
御朱印がいただける受付時間は、時期によって異なりますのでご注意を。
夏は8:00〜16:30、冬は9:00〜16:00と坂東三十三観音の公式サイトでは記載されています。書籍によって違った時間を案内していることもあります。
八溝山 日輪寺の歴史
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- 名称:八溝山 日輪寺(天台宗)
- 本尊:十一面観世音菩薩
- 詠歌:迷まよふ身が 今は八溝やみぞへ 詣まいりきて 仏のひかり 山もかがやく
坂東三十三所観音霊場の第21番目。
寺伝によると白鳳年間(7世紀後半)の673年に修験道の開祖である役小角(えんのおずぬ)が創建。
その後、廃寺になりましたが大同2年(807年)に弘法大師空海が再興し、853年に慈覚大師(円仁)が足を運んだ縁で天台宗となりました。
そして永延3(989)年には観音霊場のひとつとなり不動の信仰を得ることに。
江戸時代には寺領として幕府から朱印七石が与えられ、徳川光圀公も寺院の維持を援助していたと言われています。
本堂内には総欅造りの大伽藍、地蔵堂などが全て揃っていましたが、寛永20(1643)年の火災で焼失し、万治3(1660)年に再建。
再び明治13(1880)年に山火事に遭い、本尊以外を焼失してしまいます。
江戸時代に堂宇が整備されたのですが、1880年の山火事によりご本尊以外すべてが消失してしまいます。
その後1973年に現在の本堂が再建されました。
観音堂
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日輪寺は数々の災難に遭ったお寺でしたが、多くの信徒のおかげでその都度を姿を取り戻しています。
鎌倉時代には源頼朝が寺領を与え、戦国時代には佐竹氏が境内の修繕や梵鐘を寄贈。江戸時代には徳川光圀(水戸黄門)が焼失した本堂の再建をサポート。
歴史上で有名な人たちが保護していたお寺だったんですね。
日輪寺のご本尊
こちらの「十一面観世音菩薩」は、弘法大師がこの山の鬼人が対峙された時に狩衣を着た二神(大巳貴神と事代主神)が現れたのを二体の十一面観世音菩薩として刻んだという逸話が残されています。
弘法大師が神様を見て菩薩を彫ったというのが興味深いお話ですね。
そして日輪・月輪の二寺を建てて、観音霊場とされたのであったそうです。
坂上田村麻呂が建てたと言われる「月輪寺」は現在残っていません。本当はご本尊が2体あるということなのでしょうか?
紅白が鮮やかな建物が印象的ですが、本堂もコンクリートの小さな建物なので、それ程歴史の重みを感じるような雰囲気は感じられないかもしれません。
八溝山 日輪寺の遥拝所
「遥拝所」は、参拝が困難だった参拝者が八溝山に登らず拝んだ場所で、八溝山の遠鳥居は浅川地内に現在もあります。
場所は真弓神社の反対側にあります。
鳥居があるので「八溝嶺神社」のものだと思ってしまいますが、日輪寺の遥拝所でもあります。
山頂にある八溝嶺神社(やみぞみねじんじゃ)
八溝山へ来たら、せっかくなので山頂の八溝嶺神社(やみぞみねじんじゃ)へも足を運んでみてはいかがでしょうか。
日輪寺からハイキングで行かれるも良し、こちらも車で近くまで行くことが可能です。
社伝では日本武尊が八溝山に立てこもる賊を討ち、大己貴命・事代主命の二神を祀ったのが起源と伝えられています。
かつては砂金が産出され遣唐使の資金となったとも伝えられている神社です。
八溝嶺神社でいただける御朱印はかなり貴重なもの。
創建や伝説、詳しい情報はこちらで紹介しています。
大子町には通称「もみじ寺」とも呼ばれ紅葉の名所でもあるお寺があります。
秋の紅葉めぐりでは合わせてお参りしていただきたいスポットです。
茨城県の坂東三十三観音巡り
茨城県の坂東三十三観音札所はこちらです。日輪寺を含めると6か所あります。
- 第21番 八溝山 日輪寺
- 第22番 妙福山 佐竹寺(北向観音)
- 第23番 佐白山 正福寺
- 第24番 雨引山 楽法寺(雨引観音)
- 第25番 筑波山 大御堂
- 第26番 南明山 清瀧寺
こちらのルートガイドも参考になります。
第22番 妙福山 佐竹寺(北向観音)
妙福山 佐竹寺(北向観音)は、戦国武将の佐竹氏とともに歩んだお寺。
日輪寺がある大子町の隣の常陸太田市にあるので、竜神峡・竜神大吊橋などの観光も兼ねてお参りすることができます。
第22番 妙福山 佐竹寺(北向観音) | |
住所 | 茨城県常陸太田市天神林町2404 |
電話 | 0294-72-2078 |
納経時間 | (4月~10月)9:00~16:30 (11月~3月)9:00~16:00 |
アクセス | 日立南太田ICから約20分(約9.5km) |
第23番 佐白山 正福寺
茨城県笠間市の「佐白山 正福寺」は、春に3万本のつつじが見られる場所としても知られるお寺。
観光でも訪れやすい場所にあり、また月替わりでいただける御朱印も人気で多くの参拝者が訪れています。
第23番 佐白山 正福寺 | |
住所 | 茨城県笠間市笠間1056-1 |
電話 | 0296-72-1332 |
納経時間 | 通年 9:00〜16:00 ※12:00~13:00は昼休み |
アクセス | 友部ICから約15分(約6,5km) |
第24番 雨引山 楽法寺(雨引観音)
茨城県桜川市の雨引山 楽法寺(雨引観音)は、安産のお寺としても知られ、春には桜、6月には紫陽花の名所としても有名なお寺です。
第24番 雨引山 楽法寺(雨引観音) | |
住所 | 茨城県桜川市本木1 |
電話 | 0296-58-5009 |
納経時間 | 8:30~17:00 |
アクセス | 桜川筑西ICから約15分(約8km) |
詳しくはこちらで紹介しています。
第25番 筑波山 大御堂
日本百名山のひとつである茨城県つくば市の筑波山。山の中腹から関東平野が一望できる場所に位置するお寺が筑波山大御堂。
第25番 筑波山 大御堂 | |
住所 | 茨城県つくば市筑波748 |
電話 | 029-866-0126 |
納経時間 | (夏)8:00〜17:00 (冬)9:00〜16:00 |
アクセス | 土浦北ICから約40分(約20km) |
第26番 南明山 清瀧寺
茨城県土浦市にある「南明山 清瀧寺」。
第26番 南明山 清瀧寺 | |
住所 | 茨城県土浦市大字小野1151 |
電話 | 029-862-4576 |
納経時間 | (夏)8:00〜17:00 (冬)9:00〜16:00 |
アクセス | 土浦北ICから約10分(約5km)第26番 南明山 清瀧寺 |
まとめ
大子町の八溝山に位置する日輪寺は坂東観音巡礼の21番目の札所。
八溝山の山頂付近にあるため、最寄りのバス停からは徒歩で2時間。車でも細い山道には対向車とのすれ違いに冷や冷やする場面もあるちょっとお参りがしにくいお寺です。
冬の参拝では路面凍結などの危険もございます。
アクセスする際には安全対策をしっかりとしてお出かけください。